転職経験のある人が短期滞在ビザを申請する際の注意点2つ

転職経験のある人が短期滞在ビザを申請する際の注意点2つ

海外で暮らす友人や恋人、親族、取引先を日本へ短期間(90日間以内で)招待するには、短期滞在ビザという査証を現地の大使館や総領事館へ申請しなければなりません。このビザは俗に観光ビザ短期ビザとも呼ばれます。

そして短期ビザを申請する方法には、

  • 申請人(来日する人)が自分で書類を準備・作成
  • 招へい人(招待する人)が日本で書類を準備・作成
上記のふたつがあります。

短期滞在ビザの申請方法2つと来日する人の収入・預貯金額について

2017.04.23

申請人(来日する人)が無職であったり、安定した収入が見込めない状況であれば日本側で代わりに書類を作成してあげることになりますが、その場合は日本側の収入状況が許可をもらうためのキーポイントとなります。

当サイトでも度々紹介していますが、弊所の経験上、年収250~300万円が審査のボーダーになると考えてよいでしょう。

来日する方の国籍や居住地域によってボーダーは異なるので、年収が上記の額を下回ると不許可になるという意味ではありません。

しかし直近1年以内に転職されている場合、転職の時期にもよりますが、書面であがってくる年収額は前職と現職の給与が一緒になっているか、あるいは現職の給与がまったく反映されない状態で証明書が発行されます。

また、あなたが身元保証人となって短期ビザを申請した場合、以前どんな仕事をしていくら稼いでいたかは審査においてほとんど考慮されません現在のあなたが身元保証力を有しているのかどうかという目線で審査官はビザの発給を決定します。

そのため、この記事では直近で転職経験のある方に焦点を当てて、

  1. 転職経験はなぜ審査で不利になるのか
  2. 申請時に提出するべき書類
これらふたつを順番に解説・説明していきたいと思います。

なお、当記事は転職活動を終え実際に勤務を開始している人が対象になります。現時点で転職活動中、あるいは一時的に無職となっている方については下記の記事で解説しています。

学生や転職活動中の方が短期滞在ビザの保証人を立てるべき2つの理由

2017.05.08

1.転職経験はなぜ審査で不利になるのか

1-1.保証力不足を指摘されやすい

日本側の協力者を立てて短期ビザを申請する場合、申請先の日本大使館・総領事館は身元保証人となるあなたが申請人(来日する人)の滞在費を全額負担するという前提で審査を進めます。

そのため、勤続年数の短い人より長い人の方がより安定した生活を送っている、すなわち身元保証人として十分な人物であると判断されるのは言うまでもありません。

ただ何よりNGなのは、転職したことを申告せずにそのまま書類を提出してしまうことです。次の項目で詳しく説明しますが、転職した人が補足説明書や参考資料を添付せずに申請すると書類間に不明確な点が生じてしまいます。

当然、大使館もその不明瞭な部分、本来は見えるはずなのに見えてこない部分を踏まえて審査を行いますので、どうしてもマイナス査定となってしまい、

大使館・領事館
身元保証人に十分な保証力があるとは認められません

と判断され不許可になってしまう可能性が高くなります。

転職経験のある方は、通常の申請書類に加えて特別な資料及び書類の準備・作成が必要だということをまず理解してください。また、大使館や外務省が案内している必要書類一覧にもこれらの案内はないので注意してください。

1-2.書類間で矛盾が生じる理由

先ほど書類間に不明確な点が生じると記載しましたが、その理由はずばり市役所・区役所で取得する証明書類にあります。

ほとんどの方が申請にあたって、収入状況を証明する書類として課税証明書(所得証明書とも呼ばれます)をお住まいの市役所・区役所から取得することになりますが、この書類にはひとつのルールがあります。

それは、記載されている年度の1年前の所得を証明するというものです。

わかりやすく例を挙げると、

  • 平成30年度 課税所得証明書

という名前の書類があったとします。「平成30年」と印字されていますが、これは平成30年(2018年)中の所得を証明するものではなく、平成29年(2017年)中の所得を証明した書類になります。

つまり課税所得証明書は、タイトルに記載のある年度から1を引いた年の所得を証明します。したがって、証明書を取得したのは2018年だが、その書類に計上されている収入額は2017年というズレが生じることになります。

さらに付け加えると、2019年(平成31年)4月に課税証明書の発行を依頼すれば、平成30年度のものが最新の書類として発行されます。平成30年度の課税証明書は平成29年度の収入を証明するので、最大2年のズレが生じる可能性もあります。

この説明は少し複雑なので最悪無視していただいても構いません。

そして、この1年ないし2年の間に転職をした場合、一体どのようなことが起きるでしょうか?

結論から申し上げると、転職後の収入が書類にあがってこなくなります。仮に平成30年2月に転職して同年7月に課税証明書を取得すると1円も反映されませんし、平成29年11月に転職して平成30年7月に証明書を取得すると2ヵ月分(11月と12月)の給料しか反映されません。前職と現職の収入が混ざった状態になります。

以上の理由から、転職したことを申告せずに申請してしまった場合、転職後の収入状況を正確に伝えることができないまま審査が進むことになり、結果的に許可の確率が下がってしまいます。

いろいろ数字が出てきてややこしいと感じてしまうかもしれませんが、とにかく転職するとチェック項目が増えるということを理解していただければと思います。

それでは、次の章から具体的に準備しておくべき書類について説明していきます。

2.申請時に提出するべき書類

2-1.現在の収入を証明できる資料

最新年度の課税所得証明書に現職の給与が反映されていなければ、その他の資料で転職後の収入をアピールするしか方法はありません。

そして、一般的な会社員(派遣社員なども含みます)の方であれば、給与明細書などを準備してもらうよう弊所では案内しています。また、これもよく聞かれる質問ですが、

招へい人
直近何ヵ月分の明細を準備すればいいですか?

これに関してはその人の申請状況によるので具体的な回答はできません。1ヵ月分のみの明細で書類を整える場合もありますし、12ヵ月分の明細をいただくケースもあります。

収入の証明資料として源泉徴収票を添付することは弊所ではオススメしていません。申請人の国籍や居住地域にも左右されますが、原則源泉徴収票は受理しないというスタンスの大使館・総領事館が多いためです。

ただ、給与明細書はあくまでも所属先の企業から発行されるものになるので、市役所や区役所、税務署などが発行する証明書に比べて書類自体の信用力がどうしても低くなってしまいます。極端な話、審査を有利にするため事実とは異なる内容の明細を作成することも可能だからです。

また上記の理由から、ほとんどの日本大使館・総領事館で給与明細書は収入状況を証明できる資料として指定されていません。つまりそのまま提出すると、源泉徴収票と同様に受理してもらえない可能性があります

大使館・領事館
給与明細書は証明資料にならないので受付できません

このような案内をされないためにも、提出する際は別途補足説明書の作成を強くオススメします。

給与明細書以外にも、確定申告書の控え株主(社員)総会議事録など様々な書類が収入証明資料として存在します。

2-2.資料を提出するに至った補足説明書

大使館・総領事館はあなたに都合の良いよう解釈はしてくれません。給与明細書を提出しただけで、

大使館・領事館
この人は直近に転職経験があるから課税所得証明書に加えて給与明細書も提出しているんだな

ここまでの判断はしてくれないと考えておきましょう。あなた自身で追加の資料が必要になった理由を書面でアピールしていくことが大切になります。具体的には補足説明書と呼ばれる書類をご自身で作成していきます。

書面の記載内容に関しては、個々の案件によって大きく異なるため一概には言えませんが、

  • いつ今の仕事に就いたのか
  • それによって課税証明書はどうなっているのか
  • 参考としてどんな資料を提出しているのか
  • その資料は何を意味しているのか
最低でもこれらの事項は必ず記載するようにしてください。また書式は自由なので、手書きでもパソコンで作成したものでも構いません。

外国人を日本へ招待する直前に転職した時点でイレギュラーな申請になるため、この補足説明書でしっかりと審査官にあなたの状況を伝えることが許可率を高めるポイントとなります。

まとめ

  • 直近で転職した場合、課税所得証明書に矛盾が生じる
  • その矛盾をきちんと伝え解消することが不可欠
  • 現在の収入が把握できる資料と補足説明書の準備・作成
現在は終身雇用制度も見直され、生涯同じ職業で働き続けるという方も少なくなってきています。しかしビザ申請という側面からみると、必ずしもメリットばかりではありません。

転職したことによって大使館・総領事館はどういった角度で審査を行うのか、また審査官が疑問に思うであろうポイントを事前にカバーしていく姿勢が許可率を上げるための必須要件となります。