【短期商用編】短期滞在ビザの招へい経緯書の書き方とルール8つ

【短期商用編】短期滞在ビザの招へい経緯書の書き方とルール8つ

海外で暮らす取引先や現地法人の社員などを商用・ビジネス目的で短期間(90日間以内で)招待するには、短期滞在ビザという査証を現地の大使館や総領事館へ申請しなければなりません。このビザは俗に短期商用ビザとも呼ばれます。

そして短期商用ビザの申請には、申請人(来日する人)と日本側の招へい機関(招待する人)の関係性を証明する書類が必須になります。

今回はその中でも、審査の過程で重視される招へい理由書の別紙招へい経緯書の書き方について詳しく解説していきます。

なお、当記事は書類の書き方に重点を置いたページとなりますので、招へい理由書別紙(招へい経緯書)の概要アウトラインについて詳しく知りたい方は下記の記事を参照してください。

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招へい経緯書のおさらい

招へい理由書の別紙(以下、招へい経緯書)とは、文字通り招へい理由書に記載する内容をより詳細に記した説明書のことをいいます。

今回招へいするに至った目的、経緯の詳細について記入してください。本欄に記入しきれない場合は別紙のとおりと記入し、別紙を作成してください。

招へい理由書内にも上記の記載があり、この別紙のとおりという記述が招へい経緯書を作成する根拠といえます。なお、外務省及び大使館・総領事館において招へい経緯書の書式は公表されておらず、字数や書き出し、レイアウトなどに関しても詳しい案内はされていません。

つまり、何もない真っ白の状態からご自身で文章を構築していくことになります。

ここまでが作成に入る前のおさらいです。次の章からは、そんな経緯書の書き方について意識したいポイントを紹介していきます。

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招へい経緯書の書き方

実際の招へい経緯書

招へい理由書別紙・招へい経緯書

こちらが実際の申請で使用する経緯書です。タイトルは別紙(招へい理由書)となっていますが、招へい理由書の別紙であることが判断できれば何でも構いません。もちろん、招へい経緯書でも大丈夫です。

(1)から(8) まで番号をふっていますので、ひとつずつ確認していきましょう。

使用する言語について
英語やその国の言語で記載する必要はありません。日本語で作成してください。

(1) 日付・申請先・タイトル・署名

日付、タイトルに関しての説明は割愛しますが、ここで重要になるのは申請先(提出先)です。中国やベトナム、ロシア、タイ、インドネシアなど多くの国・地域では、申請人(来日する人)の居住地によって管轄の大使館・総領事館が異なります

申請先が不明な場合は相手任せにせず、外務省のWEBサイトを参照し、現地大使館・総領事館へ確認を取っておきましょう。

また署名についてですが、社内の複数の人物が関わる場合(申請手続きの担当者が別にいる場合など)は全員分の氏名を記載します。

中国・フィリピン・スリランカなどの一部の国・地域では代理申請機関を経由しての申請となるため、書面上の申請先と実際の提出先が異なります。
代理申請機関:大使館・総領事館の代わりに受付窓口となる現地の旅行代理店等の総称

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(2) 最初に申請概要を記載

まず初めに書くべき内容は、今回どういった申請を行うのかがひと目で把握できるようなアウトラインです。

  • 招へい機関(招待する企業)はどこか
  • 身元保証機関(企業)はどこか
  • 書面を作成したのは誰か
  • 申請人(来日する人)は誰か
上記4点を明記した上で、招へいに至った経緯を次の段落から説明していきます。

(3) 書き出しは会社の自己紹介から

上場会社ならまだしも、一般的な企業・法人であれば招へい機関の情報として、

  • 沿革
  • 主な事業内容
上記2点は記載しておきましょう。審査官の誰が見ても理解できるように、自社について簡潔に伝えていきます。ここをきちんと押さえることで、招へい目的と招へい機関の事業内容の一貫性を図ることができます

(4) 知り合った過程

いよいよ申請人(来日する人)が登場します。いつどこで知り合ったのかはしっかり明記しておきましょう。また紹介を受けた場合は、誰からの紹介であったのかも記載します。

大使館・総領事館の審査官は、知り合った過程及びその周辺情報から悪質なブローカーや犯罪組織等の介在がないかを調査します。抽象的な表現ではかえって担当官に疑義を抱かせることになるので、年月日や人物名、出会った場所などはできる限り具体的・個別的に述べるよう心がけてください。

(5) 双方の交流過程

貴社が招へい機関となって申請を行う以上、何かしらの招待に至るきっかけがあったはずです。相手がどういった人物か分からないまま身元保証を担うことは考えにくいので、どのような関わりを経て何を感じたのか、ひいてはなぜ招待するという結論に至ったのかを記載していきます。

招へい機関
最初は通訳スタッフとして紹介されて、××の視察や××にも同行してもらって、
招へい機関
取引先の従業員として出会って、それから××について意見交換をするようになって、
招へい機関
これまではシステム開発の外注先だったけど、××を経て採用を検討し始めて、

ここが経緯書作成の中では一番のポイントになります。ひたすら事実を書いていくのではなく、大使館・総領事館側はどこに疑念を抱きそうなのかを意識しながら文章を練っていきます。

  • 論理の飛躍がないか(納得できる内容か)
  • 信憑性が認められるか(具体的なエピソードの有無)
  • 申請人に就労意思はないか

特に申請人(来日する人)の就労活動については注意してください。短期商用ビザはあくまでも実務・報酬を伴わない技術指導や打ち合わせ、商談、市場調査などに対してのみ発給されます。

報酬を受けて仕事をする場合は、別途就労ビザ(技術・人文知識・国際業務など)を検討することになります。

そのため、現地法人の従業員や外注先を招へいする場合は、

大使館・領事館
日本でも同じように報酬を受け働くのではないか

という角度で厳しく審査されますので、合理的な招待理由をアピールしていくことが重要です。

(6) 会社としての意図・考え

招へいに至る経緯が記載できたら、招へい機関(貴社)側の意見や思いも挿入しておきましょう。

  • 会社として申請人と今後どのような関係を結びたいのか
  • 申請人の来日によって自社にどういったメリットがあるのか
上記のような期待や目算が書ければ綺麗にまとまります。

(7) 滞在期間・来日後の行動

次に、申請人(来日する人)の滞在日数や具体的な活動内容を明記していきます。航空便のチケットを予約しているのであれば入国日や出国日も記載しておきましょう。

滞在日数に関しては、15日30日90日間の3つの枠に振り分けられてビザが発給されることを念頭に置いてください。3週間の滞在予定であれば30日枠、50日間の滞在予定ならば90日枠での審査になります。

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また、活動内容についても個別具体的に記載します。座学がメインならばどういった講義を行うのか、ソフトウェアの技術指導を実施するのであれば到達目標をどこに設定しているのかも記載できればベターです。

(8) 結び

最後に、

  • 申請人の日本滞在中は自社が全責任をもつこと
  • 締めくくりの言葉(今回の申請をよろしくお願いします)
これらの文章を添えればひとまず招へい経緯書としての体裁は整います。

経緯書の例文・サンプルを紹介しない理由

当サイトでは、商用訪問における招へい経緯書の見本は公表していません。理由は使い回しのリスクです。

この表現はそのまま引用しよう
面倒だからこれのコピペで済ませよう

記載例として公開する以上は、誰もが自由に閲覧でき、また自由に文章を引用することが可能になります。そのため、非常に似通った経緯書が同じ管轄の大使館・総領事館に集まってしまうことが最悪のケースとして想定されます。

こうなってしまうと、誰が元(オリジナル)の作成者か判断がつかなくなるので、申請内容に疑義があるとして多くの申請人が不許可になってしまう可能性もゼロとは言い切れません。

短期商用ビザの申請において、まったく同じ経緯書は存在せず、必ずどこかで個別の追記や修正が必要になります。せっかく書面の準備を検討しているのであれば、自分の言葉で伝えたほうが自社のバックグラウンドや申請のあらましが分かりやすく反映されるでしょう。

まとめ

  • 知り合った過程は詳細に記載
  • 交渉・交流の過程は審査ポイントを意識しながら
  • 滞在期間や活動内容も忘れずに明記
今回紹介した書き方はあくまでも一例に過ぎません。申請の内容や招待する人数によって審査官がチェックするであろう項目も変わってきます。

また、分量に関しては1500~2000字あたりがひとつの目安になります。あまりだらだら書き過ぎると招へい目的の核心がぼやけ、また担当官の心証も悪くなるので、A4サイズで1~2枚におさめるのがスマートです。