短期滞在ビザ(観光ビザ)の基礎知識と6つの不許可理由

短期滞在ビザの基礎知識

短期滞在ビザとは、外国籍の方が日本を短期間(90日間以内)で訪れる際に必要となる在留資格です。俗に「観光ビザ」とも呼ばれます。

  • 観光
  • 知人・親族訪問
  • 商用(商談・打ち合わせ)

などを目的として来日される方は原則、ビザ(査証)がないと入国できません。

「ビザ」と「査証」は同じ意味です。また、「ビザ(査証)」と「在留資格」は似て非なるものですが、とりあえずは同じものとして読み進めてください。

つまり、

  • 海外の飲食店で知り合った彼女を日本へ呼びたい
  • SNSで仲良くなった友人に日本の文化を体験させてあげたい
  • 奥さんの家族と一緒に日本を観光したい
  • ビジネスパートナーとして今後の打ち合わせを行いたい

上記のような就労活動を伴わない内容で、かつ90日間以内の滞在であれば、原則「短期滞在ビザ」を申請することになります。

しかし、いざ調べてみても短期滞在ビザに関する情報が少ないため、「そもそも自分が招待できるのかどうか」さえままならない方も多いと思います。

また、行政書士事務所のホームページを見ても、料金説明や広告ばかりで「あまり参考にならないな」と感じているかもしれません。

このサイトでは、そういった方たちのために短期滞在ビザの取得方法のすべてを解説・説明していますが、その大前提となる基礎知識をこのページで紹介しています。まずはここから読み始めてください。

ビザ免除国について
査証免除協定が結ばれている国の方であれば、ビザ(査証)は不要となります。
免除国については外務省ホームページに一覧がございますので一度ご確認ください。

1.許可が下りる確率

100%はあり得ない

よく「絶対に許可をもらうにはどうすればいいか」と相談を受けますが、短期滞在ビザは申請すると必ず許可が下りるものではありません。どれだけ年収が高くても、どれだけ交際期間が長くても不許可になってしまう人は一定数います。

短期滞在ビザ申請が不許可になってしまう理由はこの3つが大部分を占めるでしょう。

  1. 提出書類の不備(最低限の書類しか添付していない)
  2. 招待に至った経緯が審査官に伝わっていない
  3. 身元保証人の収入状況(年収や預貯金の額)

これらの不許可事由に関しては、のちほどまとめて解説します。

まず、ざっくりと申請の流れを説明すると、

  • 海外側と日本側で必要書類を準備・作成する
  • 申請に必要な書類一式を申請人(来日される方)へ送付する
  • 現地にある日本大使館または総領事館にて審査を依頼
  • ビザ(査証)の発給・不発給の決定
  • 発給の場合、許可が下りてから3ヵ月以内に日本へ入国

このような手順を踏むことになっており、日本大使館・総領事館での審査が必須となります。その際、書類に不備があったり、添付資料が不足しているとそれだけで許可の確率は下がってしまいます。

ビザが不許可(不発給)になるということは、いざ空港に到着しても日本に入国できなくなることを意味します。そうならないためにも、必要とされている書類・資料をすべて準備して、誰が見ても理解できるような丁寧かつ論理的な文章作成を心がけ、書類1枚1枚で許可の確率を上げていくことが大切になります。

また、短期滞在ビザの審査において、基本的に面接はありません。書類上での審査がメインとなります。まれに面談形式や電話で質問(インタビュー)を受けることもありますが、書類の内容でほぼ結果が決まると考えて間違いありません。

その上、

  • 大使館・総領事館が求めている(求めそうな)書類を添付せず
  • 文章でアピールするべきことを記載していない

などの状況で申請をしてしまうと、許可になる確率がグンと低くなるだけでなく、さらに痛手を受けることになります。

2.不許可になると[半年間]再申請ができなくなる

中途半端な書類を提出するのはご法度

その他のビザ(配偶者ビザ・就労ビザなど)と違い、この短期滞在ビザの怖いところは、一度不許可になってしまうと半年間再申請ができなくなってしまうことです。前述の3つの不許可理由の他にも、

  • 滞在目的と申請日数の乖離
  • 滞在場所の不透明性
  • 過去の犯罪歴(オーバーステイ歴)

などなど、たくさんの理由がありますが、

大使館・領事館
一般的に考えて、これらの状況が短期間で改善される見込みは薄いので、最低半年間は待ってください。

というのが審査官側の言い分です。参考までに、これまでに挙げた6つの不許可理由を順番に説明します。

不許可理由について
日本大使館・総領事館は不許可の理由を申請人や招へい人に開示しません。審査基準をかいくぐって悪用されるのを防ぐためです。そのため、当サイトで紹介している不許可の理由に関しては、弊所の実績や経験に基づいたものとなっております。

2-1.提出書類の不備(最低限の書類しか添付していない)

大使館・領事館
今回の申請で準備できなかった資料をすぐに準備できるとは考えにくいです。

審査官は「今回うっかりミスで書類の添付を忘れてしまったんだな」とは判断してくれません。提出しなかった=今はまだその書類が準備できる状況にないものとして審査されます。

2-2.招待に至った経緯が審査官に伝わっていない

大使館・領事館
なぜ申請人(招待された人)が来日することになったのかが分からないので、今回は許可を見送ります。また半年後に改めて申請してください。

まず、「経緯」と「目的」の違いを理解することが重要です。

経緯:来日するの事柄を記載したもの
目的:来日したの事柄を記載したもの

具体例を挙げると、「海外駐在時に出会って仲良くなったから日本に呼びたい」は経緯です。「東京と京都の観光地を一緒に巡りたいから日本に呼びたい」は目的です。

多くの方が、目的のみを伝えて経緯の説明が疎かになっています。審査官からすると、「日本で何をするかは分かったけど、そもそもなぜ来日するに至ったの?」という疑問が払拭されないため、終始怪しいと思われながら審査が進むことになります。

なお、実際は招へい理由書という書類に経緯を記載することになりますが、詳しい説明は別途記事を作成していますので、下記を参照してください。

短期滞在ビザ申請に必要な書類「招へい理由書」

2017.03.17

2-3.身元保証人の収入状況(年収や預貯金の額)

大使館・領事館
申請人(来日する人)の滞在費を身元保証人がカバーできるとは思えません。また、すぐに収入が上がるとも考えにくいので、また半年後に再申請してください。

これは身元保証人の金銭的な保証力不足ということで、単純かつ分かりやすいですが、肝心のどこまでの収入額・預貯金額が許可のボーダーラインかというのは公表されていません

実際に弊所へご依頼くださったお客様でも、年収2,673万円で不許可になった事例がある一方で、自営業で所得が0円でも無事に許可をいただけた実績が多数ございます。

勿論、収入状況だけで審査されるわけではなく、嘘をついている・隠し事をしていた・申請人側に問題があったなど、様々な側面から判断されるので、「自分は年収が高いからまず問題ないだろう」という考えは捨ててください。逆にその発想のせいで書類作成が疎かになると本末転倒です。

非常に多くの方が、この収入状況を心配して弊所までご相談をされていますが、そこまで深く考えなくて結構です。ご自身に年収や預貯金がなくても他に方法はありますし、数字では見えない部分(申請人との関係性や思い出に残ったエピソードなど)の方が審査に大きく影響を与えます。

2-4.滞在目的と申請日数の乖離

大使館・領事館
今回の滞在目的とあなたが希望している滞在日数が矛盾しています。その点を踏まえて、よく考えた上でまた半年後に再申請してください。

例を挙げると、

滞在目的:取引先との打ち合わせ・商談
滞在日数:90日間

一般的に考えて、3ヵ月も商談をし続ける企業は異常です。異常と判断されればまだ良いですが、例に挙げたケースだと、おそらく審査官は嘘をついていると判断するでしょう。

「本当は打ち合わせや商談以外の目的で招待しているが、それを書類に書いてしまうと問題があるので、あえて記載していないのではないか?もしかして就労活動をさせるつもりでは?」などの疑いを持たれると、ビザの取得は絶望的です。

滞在目的と滞在日数のバランスを考えて、無理のない日数で申請することが大切です。なお、短期滞在ビザの申請では、15日間・30日間・90日間の3種類の枠から選ぶことになっています。

短期滞在ビザの「滞在期間・滞在日数」で知っておきたい3つのこと

2016.10.22

2-5.滞在場所の不透明性

大使館・領事館
あなたが現在どこで暮らしているかがよく分かりません。きちんと居所を確定させてから申請してください。

これは、あなたが現在住民票に記載されている住所地で暮らしていないことを意味します。

  • 長期出張のため別のアパートを契約している
  • ひとり暮らしだが住民票では家族と同居になっている
  • 先月社宅から引っ越したばかり
  • 海外赴任を終えて戻ってきたので、最近まで住民票を抜いていた
  • 離婚調停中のため別居している

などなど、住民票に記載されている情報と今のあなたの状況が一致していなければ要注意です。当の本人は理由を知っているので何も不思議に感じませんが、審査官は提出された書類のみで判断するため、あなたが思っている以上に「結局、この人は今どこに住んでいるのか?なぜ住民票を移していないのか?」と疑問を持たれる傾向にあります。

弊所では、別途補足説明書を作成・添付した上で申請するようご案内していますが、ご自身で作成される際も可能であれば「住民票と異なる場所に滞在する旨の説明書」を事前に作成しておくことをおすすめします。

2-6.過去の犯罪歴(オーバーステイ歴)

大使館・領事館
あなたが招待しようとしている人は、以前日本の法律を守らなかったので、危険とみなし今回の許可を見送ります。

以前来日した際、日本の法を犯してしまった方がこの不許可事由に該当します。これに関しては弊所でどうにかできる問題ではありませんが、

  • 特別な事情があってそうせざるを得なかった
  • そもそも違法状態ということに気付いていなかった

などの理由があれば、もしかすると申請の見込みはあるかもしれません。

実際に弊所では、

  • 技能実習生として滞在していたが、劣悪な環境に我慢できず逃げ出し結果的にオーバーステイになった
  • 10年前に偽装結婚で退去強制処分を受けている

上記の方の短期滞在ビザ申請で無事に許可をいただけた事例がございます。

勿論、通常の提出書類に加えて反省文嘆願書などを添付することになりますし、知らずに申請して不許可になってしまうと、そのデータが大使館や外務省に残り続けることになるので、念のため相手さんに確認をとっておきましょう。

再申請の制限について
あくまでも、審査の結果不許可になった場合のみ再申請が半年間制限されます。
受理自体がされなかった場合、上記のような制限はありません。
また、制限期間を回避する方法もあるにはあるのですが、複雑な説明を要するため当ページでは説明を省いています。

まとめ

  • 100%許可が下りるビザ(査証)ではない
  • 不許可になってしまうと6ヵ月間再申請ができなくなる

年収や預貯金の額以上に、必要書類の事前準備文章の書き方が審査に大きく影響を与える

短期滞在ビザ(観光ビザ)の申請にあたり最低限押さえておきたいポイントと、よくある6つの不許可理由について説明しました。

できるだけ分かりやすく砕いて解説しましたが、「想像していたより大変そう」というのが正直なところだと思います。ただ、この「大変そうだな」という意識を持つことが許可の可能性を高めるための第一歩となりますので、この調子でどんどん短期滞在ビザのルールを理解していきましょう。