海外で暮らす交際相手や親族、友人を短期間(90日間以内で)日本へ招待するには、短期滞在ビザという査証を現地の大使館や総領事館へ申請しなければなりません。
- 観光や文化体験
- 恋人/友人/親族訪問
これらの渡航目的をもって来日する外国人は、事前に海外側でビザ(査証)1を取得しておかないと入国できません。
短期滞在ビザの適用範囲
- 海外の飲食店で知り合った彼女を日本へ呼びたい
- SNSで仲良くなった友人に文化を紹介したい
- 配偶者の家族と一緒に日本を観光したい
つまり、上記のような就労活動(金銭の授受)を伴わない内容で、かつ90日間以内の滞在であれば、原則「短期滞在ビザ」を申請することになります。
この記事の目次
短期滞在ビザの許可率
短期ビザ/観光ビザは必ず許可が下りる申請ではありません。
よくお受けするご相談ですが、審査が入る以上、絶対はありません。
どれだけ身元保証人の年収が高くても、どれだけ交友期間が長くても、不許可になる方は一定数いることをまず知っておいてください。
不許可の主な3要素
短期滞在ビザの申請が不許可になる理由は、下記3点が大部分を占めます。
- 提出書類の不備(最低限の書類しか提出していない)
- 招待に至った経緯が審査官に伝わっていない
- 身元保証人の収入状況(年収や預貯金の額)
一般的な申請の流れ
- 日本側で必要書類を準備・作成
- 完成した書類を申請人1のもとへ送付
- 現地にある日本大使館・領事館へ審査を依頼
- ビザ(査証)の発給・不発給の決定
- 発給後3ヵ月以内に日本へ入国
見てのとおり、海外にある日本大使館等での審査が必須になります。その際、書類不備があるとそれだけで許可率は下がってしまいます。
審査で有利になる資料を少しでも多く準備し、誰が見ても理解できるような丁寧かつ論理的な書面を提出する姿勢が大切になります。
審査のプロセス
原則、短期滞在ビザの審査において面接や電話調査は実施されません。
提出した申請書類のみで許可・不許可が判断されます。
ごくまれに面接のほか、電話を用いた聞き取り調査もありますが、“書類の内容”でほぼ結果が決まると考えてください。
不許可になると“半年間”再申請ができない
結婚ビザや就労ビザと異なり、短期ビザは不許可になると半年間の待期期間が課されます。
- 滞在目的と滞在日数の乖離
- 滞在場所の不透明性
- 過去の犯罪歴(オーバーステイ歴)
前章で紹介した3つの不許可理由以外にも、こういった項目が挙げられます。ただ、どんな理由であれ、6ヵ月間は必ず待つことになります。
不許可理由は開示されない
日本大使館・総領事館は不許可の理由を申請人やあなたに開示しません2。審査基準をかいくぐって悪用されるのを防ぐため、法律上教えなくてもよいとされています。
申請制限期間の補足
受理自体がされなかった場合、半年間の制限はかかりません。一旦書類を持ち帰って、チェックし直せばすぐに申請できます。
短期滞在ビザの不許可理由
これまでに挙げた6つの不許可理由を順番に見ていきましょう。
1. 提出書類の不備
単なる添付漏れのほか、最低限の書類しか提出していないケースもこれに該当します。
まれに大使館側から追加の資料提出を案内される場合もありますが、通常は受領した分のみで審査されます。審査官はあなたが有利になる書類の組み合わせは教えてくれません。
2. 招へい経緯が伝わっていない
このような場合はまず、「経緯」と「目的」の違いを理解することが重要です。
- 経緯来日する前の事柄を記載したもの
- 目的来日した後の事柄を記載したもの
具体例を挙げると「海外出張時に出会って仲良くなったから日本に呼びたい」は経緯です。「東京都内を一緒に巡りたいから日本に呼びたい」は目的です。
経緯の説明は疎かになりがちなので、目的より経緯に比重を置いて作成にあたってください。
3. 身元保証人の収入状況
身元保証人の年収・所得や預貯金が整わなかったケースが該当します。
金銭的な保証力不足は単純で分かりやすい理由ですが、肝心の審査における収入・預貯金額の目安は一切公表されていません。
もちろん、収入状況だけで審査されるわけではなく、申請書類全体の整合性や申請人側の問題など、様々な要素が考慮されます。
リカバリー方法はある
保証人の追加など、ご自身に年収や預貯金がなくても他に方法はあります。また、ふたりの関係性や交際期間のほうが審査に深く影響します。
4. 滞在目的と滞在日数の乖離
今回の来日目的と予定している滞在日数が矛盾しているケースが該当します。
具体的には以下のような事例が想定されます。
- 滞在目的取引先を交えた会議
- 滞在日数90日間
極端な例ですが、一般的に考えて3ヵ月も会議をし続ける企業はそうそうありません。例に挙げた事例だと、審査官は嘘をついていると推定するかもしれません。
このような疑いを持たれると、ビザの取得可能性は低くなります。滞在目的と滞在日数のバランスを考えて、無理のないスケジュールで申請するのがポイントです。
5. 滞在場所の不透明性
住民票上の住所地で暮らしていないパターンは典型的事例です。
- 長期出張のため別の物件を契約している
- ひとり暮らしだが住民票上は家族と同居
- 海外赴任を終えて戻ってきたばかり
- 離婚調停中のため別居している
上記のいずれかに該当し、住民票上の住所と今のあなたの住まいがズレていれば要注意です。
当の本人は理由を知っているので何も不思議に思いませんが、審査官は提出された書類のみで判断するため、認識の相違が生まれやすくなります。
6. 過去の犯罪歴
過去の来日時に法律違反を指摘された方、特にオーバーステイ歴のある方が該当します。
- 特別な事情があってそうせざるを得なかった
- そもそも違法状態に気付いていなかった
- 本人が心から反省している
犯罪歴が原因の不許可は簡単には覆りません。ただ、上記のような事情があれば、再申請時に許可を得られるかもしれません。
実際の許可事例
- 劣悪な環境に我慢できず逃げ出した元実習生
- 10年前に偽装結婚で強制送還の処分を受けた
- 15年前に不法就労で捕まった,など
上記の案件で短期滞在ビザが付与された事例はあります。なお、このようなケースでは、通常の書類に加えて、反省文や嘆願書などを準備するべきと解されます。
まとめ
- 100%許可が下りるビザではない
- 不許可時は6ヵ月の申請制限が課される
- 書面の出来次第で許可率は上下する
短期滞在ビザの申請で最低限押さえておきたいポイントを解説しました。
理解を深めていくことが許可率を高める第一歩です。他の記事もぜひ参照してみてください。