海外で暮らす交際相手や親族を短期間(90日間以内で)日本へ招待するには、短期滞在ビザという査証を現地の大使館や総領事館へ申請しなければなりません。このビザは俗に短期ビザ・観光ビザとも呼ばれています。
そして短期滞在ビザの取り扱い上、下記のいずれかが認められると、例外的に延長(更新)許可が与えられます。
- 人道上の真にやむを得ない事情
- 上記に相当する特別な事情
今回の記事では、短期ビザの延長・更新申請で求められ得る納税証明書をテーマに解説します。
納税証明書とは
納税証明書を一言でいうと、個人の納税状況を証明する書類です。
上記のようなことが納税証明書には記載されているとお考えください。また納税証明書は、延長・更新申請時の身元保証人の名義で発行します。
なお、ひとえに税金といっても多くの種類がありますが、短期ビザの延長・更新申請においては住民税1の納税証明を求められる傾向にあります。
1 市民税・道府県民税・特別区民税・都民税など
滞在中の経費を支弁できることを証する資料及び出国のための手段又は経費を支弁できることを証する資料
法務省のWEBサイトにも延長・更新申請の必要書類として上記の資料が紹介されており、“滞在中の経費を支弁できることを証する資料”という記述が納税証明書を提出する根拠と解されます。
もちろん、実際の申請にあたっては具体的な資力(収入・預貯金額)の立証も求められるため、下記に代表される資料を併せて提出することになります。
- 課税証明書(所得課税証明書)
- 残高証明書
納税証明書の発行元
市役所・区役所で取得
こちらが実際の申請で提出する「納税証明書」の見本です。
原則、あなたのお住まいの市役所・区役所で取得できますが、これには条件があり、当該年度の1月1日時点で住民票を登録している場合に限ります。
例えば、その年の1月1日時点で既にA市(A区)に住民票を置いていれば、そのままA市(A区)の役所で納税証明書を取得できます。
しかし、1月1日時点でB市(B区)に暮らしていた人が、引越しなどでA市(A区)に移転したケースでは、A市(A区)の役所で書類を受け取れません。この場合の請求先はB市(B区)になります。
つまり、納税証明書は取得したい年度の1月1日時点に住所があった役所へ請求しなければならない、ということです。
納税証明書の取得可能時期
6月頃が目安
納税証明書が取得できる時期は、当該年度の1月1日ではないことにも注意が必要です。
毎年5月から6月にかけて自治体が順次納税額の情報を更新していくので、そのタイミングで取得が可能になります。
例を挙げると、2019年3月に2019年度の納税証明書は取得できず、1年前の2018年度のものを請求することになります。なお、この場合は2018年度の証明書が最新の書類として扱われるので、そのまま短期ビザの延長・更新申請に使用できます。
納税証明書は発行後3ヵ月以内のものを提出しなければなりません。有効期限を過ぎてしまった場合は再提出を求められます。
納税証明書の見方
未納税額の取り扱いに注意
このようなご相談を稀にお受けしますが、実は納税証明書にはセーフな未納とアウトな未納が存在します。
赤枠で囲っている部分をご覧ください。市/区役所によっては、このように「未納税額」と「未納税額のうち納期未到来税額」という項目が印字されています。
未納税額は必ずしも滞納を意味しません。上記のケースでは、「未納税額」は単に納付していないことを表すにとどまっています。
つまり、納付の期限日が来ていないため、支払っていなくても仕方のない金額が含まれています。それを詳細に記載しているのが「未納税額のうち納期未到来税額」です。
セーフな未納
- 未納税額50,000円
- 未納税額のうち納期未到来税額50,000円
このように記載されていれば、「50,000円の税金を納付していないが、そもそも納付の期限日がまだなので、一時的に未納状態になっているだけ」と判断できます。
この場合は、そのまま延長・更新申請に使用しても問題ありません。
アウトな未納
- 未納税額50,000円
- 未納税額のうち納期未到来税額45,000円
この場合、「50,000円の税金を納めていないが、45,000円分に関しては納付期限日がまだ来ていない」という内容が読み取れます。
つまり、差し引いた5,000円分が滞納状態になっていることを意味します。
このまま納税証明書を提出してしまうと、上記のように判断され審査に影響の出る可能性があります。滞納状態にある方は、納税を済ませてから同証明書を再取得するようにしましょう。
まとめ
- 必須資料ではないが提出をおすすめ
- 1月1日時点で住民登録のある役所で取得
- 年度の切り替わりは毎年5月~6月
繰り返しになりますが、納税証明書はあくまでも課税証明書や残高証明書のサブ的な位置付けになるため、それ単体ではあまり審査でプラスにならないと解されます。
ただ、身元保証人の状況や申請内容によっては十分評価され得る資料なので、なるべく準備するようおすすめします。