短期滞在ビザの延長・更新申請における「理由書」の書き方

短期滞在ビザの延長・更新申請における「理由書」の書き方

海外で暮らす親族や交際相手、取引先を短期間(90日間以内で)日本へ招待するには、短期滞在ビザという査証を現地の大使館や総領事館へ申請しなければなりません。このビザは俗に短期ビザ観光ビザとも呼ばれます。

そして短期滞在ビザの取り扱い上、

  • 人道上の真にやむを得ない事情
  • 上記に相当する特別な事情

これらのどちらかが認められると、例外的に延長(更新)許可が与えられます。

今回の記事では、そんな短期ビザの延長・更新申請において必要となる申請理由書の書き方について詳しく解説します。

なお、当記事は理由書の書き方に重点を置いたページとなりますので、理由書の概要アウトラインについて詳しく知りたい方は下記の記事を参照してください。

短期滞在ビザの延長・更新申請における「理由書」作成前チェック4つ

2018.05.22

理由書のおさらい

名前のとおり、理由書とは「短期滞在ビザの延長を希望する理由」について記述した書類のことをいい、理由書の他にも申請理由書在留期間更新許可申請理由書といった名称で呼ばれています。

日本に入国してから現在までの活動を説明する資料(書式自由)

法務省のWEBサイトにも、短期ビザの延長・更新申請の必要書類としてこのような記載があり、上記資料もまた理由書を作成する根拠のひとつだと解されます。

しかし、この書式自由という表記が厄介で、理由書においても具体的な書式は公表されていません。そのため、理由書作成にあたっては字数や書き出し、主張すべき項目についてご自身で考えながら文章を構成していくことになります。

在留期間更新許可申請書にも延長・更新の理由について記述する箇所はありますが、理由書にはその前後関係を踏まえた論理的な文章が求められます。

短期滞在ビザの延長・更新申請の必要書類「在留期間更新許可申請書」

2018.05.15

ここまでが作成に入る前のおさらいです。次の章からは、そんな理由書の書き方について意識したい箇所を紹介していきます。

理由書の書き方

親族訪問ビザの延長・更新申請

在留期間更新許可申請理由書
こちらが実際の延長・更新申請で提出する理由書です。なお、更新理由は主に病気の治療目的などが具体例として挙げられますが、今回はよくご依頼をいただく親族訪問ビザの延長・更新申請をベースに解説していきます。

  • 申請人延長を希望する外国人(招へい人の親族)
  • 招へい人あなたの配偶者
  • 身元保証人あなた(日本国籍)

上記のような組み合わせを想像しながら読み進めてください。それでは、(1)から(8)まで番号をふっていますのでひとつずつ確認していきましょう。

(1) 管轄入国管理局・作成年月日

滞在先を管轄する入国管理局の名称を記入します(原則)。管轄が不明な場合は入国管理局のWEBサイトをご覧ください。

なお、申請人(来日している人)は短期ビザ取得時の招へい人・身元保証人の自宅に滞在しているケースが多いと予想されますので、その場合は下記の例を参考にしてください。また理由書を作成した年月日も忘れずに記入します。

  • 千葉県内に滞在している東京”入国管理局
  • 岡山県内に滞在している広島”入国管理局
  • 熊本県内に滞在している福岡”入国管理局
見本の画像では「作成年月日」を省略しています。

(2) 申請人の署名・サイン

赤枠の中に申請人(来日している人)の署名・サインが必要です。日本側協力者や身元保証人(あなた)の署名ではないので注意してください。

ご依頼状況によっては、別途誓約書上申書等の資料を作成・提出しますが、そういった書類に関しては身元保証人側(あなた)の署名・捺印が必要になります。

(3) 申請の概要

最初の段落で、今回の延長・更新申請の概要を簡潔に記載します。

  • 申請人の名前(私は**です)
  • 「短期滞在」在留資格を保有していること
  • 在留期限はいつまでか
  • 在留期間の更新を希望していること
最低でも上記4点は冒頭で伝えておきましょう。なお在留期限に関しては、申請人のパスポートに貼り付けされている証印(下記画像)が参考になります。

証印

短期滞在ビザの日本国査証と証印の見方がわかるチェック箇所15

2017.05.20

(4) 登場人物の紹介

この段落から本格的に文章を練っていくことになりますが、まず気をつけるべきは文章中の主体(主語)です。延長・更新申請は申請人(来日している外国人)本人が希望するかたちをとるため、申請人側から見た事情や経緯の説明が望ましいです。

文中の“私”=“申請人”というイメージです。日本側身元保証人(あなた)が申請人の代筆を担当するといえば分かりやすいかもしれません。

この書き方があらゆる状況・事情において正しいわけではありません。あくまでも書き方のひとつとしてご理解ください。

保証人(あなた)からどう見えたかではなく、申請人(来日している人)側に立って、考えていることや感じたことを記載するよう心がけましょう。

もちろん、保証人(あなた)の立場から伝えたいこともあるかもしれません。そういったときは、理由書の他に上申書嘆願書などを準備すれば、まとまりのある綺麗な書類に仕上がります。

  • 日本で暮らす親族の生活状況
  • 親族との関係性
上記を踏まえた上で、主にこの2項目について記述していきます。まず、親族訪問である以上は申請人(来日している人)の親族1が日本で暮らしているため、当該親族がどういった経緯でいつ頃来日し、今はどのように生活しているのかを簡潔に記載しておきましょう。

1 多くのケースでは、この親族が短期ビザ取得時の「招へい人」に該当します。

加えて、案件によっては申請人(来日している人)と当該親族(招へい人)との関係性にも触れておき、思い出のエピソードなどを挿入するケースも考えられます。仮に姉妹関係の申請人を招待したのであれば、親族間の仲の良さが分かるような話を紹介しておきましょう。

また可能であれば、身元保証人(あなた)と申請人(来日している人)との交流についても記載します。来日前にも何度か対面しているのであれば、その際のエピソードなども盛り込んでおきましょう。

(5) 来日に至った経緯

申請人が短期ビザを取得し来日するまでの経緯を記載します。何かしらの目的理由があって来日しているわけですから、申請人とコミュニケーションを取りながら、何のためにいつ頃日本に来たのかをありのまま記述してください。

ここで変に気をまわして、審査で有利になるような文章に書き換えてしまうのはご法度です。審査の過程で直近申請時の情報と照らし合わせることも十分想定されますので、短期ビザ取得時の来日目的・理由からはなるべく離れないようにしましょう。

(6) 来日後の行動

申請人が来日してからの活動内容について具体的に記述していきます。育児の面倒家事のお手伝いなど、これまでに申請人が行ってきたことを列挙してください。

(7) 延長を希望する根拠

来日後の行動に触れながら、このまま申請人が帰国してしまうと良からぬ状況を招いてしまう点について主張・立証を重ねていきます。

身元保証人
夫婦共働きで育児の時間を割けない
招へい人
配偶者として来日したばかりで育児と家事の両立が難しい

上記のような事情があればそれを記述し、申請人の目線から自身(申請人)が引き続き滞在するべき根拠をアピールします。また、許可が下りた際の行動予定についても記載しておきましょう。

なお、このセクションも「あなた」ではなく「申請人」が主語になるため、保証人(あなた)自身の希望だけではなく、申請人の意見もきちんと汲み取りながら作成にあたってください。

以上を踏まえた上で、

身元保証人
こういう理由があって、私は在留資格「短期滞在」の在留期間更新許可申請に至りました

というかたちにまとめておきましょう。

(8) 身元保証人の情報

このセクションでは、申請人の日本滞在中の面倒を見てくれる身元保証人(あなた)についての情報を簡潔に記載していきます。

  • 保証人の氏名
  • 職業/勤務先
  • 収入状況
上記3点が記述できていれば問題ないといえるでしょう。

なお、会社員だけでなく、経営者や会社役員、個人事業主など様々な職種の方が身元保証人になり得るので、既定の書き方は存在しませんが、保証人が引き続き滞在費を負担してくれる旨の記述は押さえておきましょう。

申請人に十分な資力が認められる場合は、この限りではありません。

最後に、締めくくりの言葉(今回の申請をよろしくお願いします)を添えればひとまず理由書としての体裁は整います。

まとめ

  • 主格(主語)は申請人で作成
  • 延長を希望する根拠を中心とした文章展開
  • 状況によっては別途上申書などを添付
今回紹介した書き方はあくまでも一例に過ぎません。申請人と親族の関係性や、延長を希望する背景によって審査官がチェックするであろう項目も変わってきます。

なお、申請すれば必ず許可がもらえる類のものでないことは必ず念頭に置いてください。この記事の導入部で紹介したとおり、短期滞在の延長・更新は特別な事情がない限り許可されません。

もっと観光を楽しみたいので延長を希望します

上記のような理由では申請自体を断られる可能性があります。ご自身で手続きを進めていく場合は、その都度管轄の入国管理局へ問い合わせるのもひとつの方法です。

また分量に関しては、1500~2000字あたりがひとつの目安になります。あまりだらだら書き過ぎると申請の核心がぼやけ、また審査官の心証も悪くなるので、A4サイズで1~2枚におさめるのがスマートです。ご家族でよく話し合いながら作成に取り掛かってください。