海外で暮らす友人や交際相手、親族を短期間(90日間以内で)日本へ招待するには、短期滞在ビザという査証を現地の大使館や総領事館へ申請しなければなりません。
ただ、短期ビザを取得したからといって日本人と同じ手続きで入国できるわけではありません。
この記事では、短期ビザを取得してから日本に入国するまでの流れを解説しています。
この記事の目次
ビザ取得から日本入国までの流れ
大前提として、日本への上陸を希望する外国人は下記の条件をクリアする必要があります。
- 有効なパスポートを所持している
- 日本大使館/領事館より査証(ビザ)を交付されている
査証(ビザ)とは、今回申請する「短期滞在ビザ」そのものを指します。無事に申請が許可になると、パスポートの査証欄1に以下のようなシールが貼付されます。
日本国査証/VISAの画像
上記シールの貼り付けをもって、正式に査証(ビザ)の交付を受けたことになります。
念のため、出国前に査証シールとパスポートの身分事項ページ(顔写真のあるページ)を見比べて、名前やパスポート番号に間違いがないかを確認してもらいましょう。
パスポート/旅券の有効期限が6ヵ月を下回っていれば、期限を更新してからの申請をおすすめします。書類を受理してもらえなかったり、航空券が購入できなかったりするケースがあります。
日本入国から滞在開始までの流れ
日本の空港に到着したあと、ビザ申請人2は入国審査官による上陸審査を受けます。
上陸審査を受けるための条件
上陸審査を経て、パスポートに証印(後述)と呼ばれるシールが貼られた時点で、正式に日本での滞在を許可されますが、その前段階となる上陸審査を受けるには5つの条件があります。
- 法務省令で定められた出入国港で入国していること
- 乗務員でないこと
- 日本に上陸しようとする外国人であること
- パスポートが入国時も有効であること
- パスポートに査証(ビザ)を受けていること
“入国”と“上陸”の違い
まず、短期滞在ビザの手続きにおける入国と上陸は意味が異なります。
- 入国日本の領空に入ること(渡航すること)
- 上陸日本国内で滞在すること
厳密に記述すると長くなるので、とりあえずは上記の理解で構いません。
5の条件は、「査証/ビザを持って日本へ渡航した外国人」が上陸審査を受けられると定めています。ここで重要なのは、あくまでも短期滞在ビザの所持は上陸審査を受けるための条件に過ぎないという点です。
つまり、短期滞在ビザを取得して空港に降り立った段階では、日本国内に滞在できることまでは保障されていません。上陸審査の結果、日本に滞在できるかどうかが決定します。
以上の理由から、冒頭で紹介したような、短期ビザを取得しても日本で過ごせない(入国はできたけれども上陸ができない)という状況が起こり得ます。
上陸審査では何を聞かれるのか
少々不安になりますが、そこまで心配する必要はありません。実際、短期滞在ビザの許可が下りた外国人に対してはほぼ全員上陸が許可されています。
短期ビザが取得できた以上は、現地の大使館からお墨付きを得ているわけなので、比較的緩やかな審査が想定されます。そのため、上陸審査といっても「何をしに来たか」や「誰と面会予定か」などの軽い質問がメインになります。
上陸を拒否されるケース
下記の項目に該当する場合は、厳格な上陸審査が予想されるので注意が必要です。
- 過去にオーバーステイの前歴がある
- 「日本で仕事をする」と回答した
- 審査の過程で嘘をついた
特に短期ビザでは一切の就労が認められないため、申請人が「仕事をするために来日した」と回答した時点で今回の滞在は怪しくなります。
また、書類に嘘を記載してビザを取得しても、上陸審査中の会話で矛盾が露呈し、虚偽申請が発覚してしまうケースもあります。ありのままを伝えるよう心がけましょう。
証印が貼られて手続きは終了
証印シールのサイズは切手よりひと回り大きいくらいです。
滞在期限も証印で確認できる
実際の証印の見本画像です。証印も査証/ビザと同じように、査証欄(スタンプが押されるページ)に貼付されます。
ちなみに、証印の在留期限(Until)を見れば、申請人がいつまで日本に滞在できるかが分かります。写真の証印では「90日間」が付与されているので、許可年月日(上陸した日)から「90日後」の日付が印字されています。
まとめ
- 入国(渡航)と上陸(滞在)は異なる
- ビザの発給は上陸審査の条件
- 証印が貼られて上陸手続きは終了
なお、短期滞在ビザを利用した入国者には、個人識別情報の提供が求められます。具体的には指紋と顔写真です。
上記識別情報の提供を拒否した場合、原則上陸は許可されないので注意してください。