海外で暮らす交際相手や親族、友人を短期間(90日間以内で)日本へ招待するには、短期滞在ビザという査証を現地の大使館や総領事館へ申請しなければなりません。
そして短期滞在ビザは、その他のビザ(配偶者ビザなど)と異なり、一度不許可になってしまうと半年間再申請が制限されます。また、不許可の理由も一切開示されません。
この記事では、短期滞在ビザの不許可時のリカバー方法・再申請をテーマに解説しています。
この記事の目次
再申請を行う前に
繰り返しますが、短期滞在ビザ申請は不許可になると6ヵ月間の待期期間が課されます。
半年は必ず待ちましょう
外務省及び各国の日本大使館・総領事館が公表している決まり1なので、当該期間を短縮することは原則できません。
そのため、これから短期ビザの再申請に取り掛かる方は、この半年間でできる限りの対策を練る必要があります。
不許可理由は開示されない
申請が不許可/不発給になった以上、それなりの理由が存在します。
しかし、審査元の日本大使館・総領事館は不許可理由を原則開示しません。法律で審査基準や拒否理由を提示しなくていい2と定められているからです。
なぜ開示しないのか
発給拒否の理由や審査基準を教えてしまうと、それさえクリアすればビザが発給される(=誰でも入国できる)という解釈を与えることにつながります。
そして、それを逆手にとって制度を悪用されるとビザ本来の意義がなくなってしまうため、大使館側はあえて開示しません。
理由が開示されるケース
しかし法律上は、不許可理由を教えてはならないとまでは言及していません。教えなくてもよいという表現にとどまっています(行政手続法の適用除外)。
そのため、大使館側の判断によっては、不許可理由を教えてくれる場合があります。
以上の理由から、ほぼすべての案件において、再申請時は招へい人が自分で不許可の理由を推測し、それをリカバーできる書面を整えなければなりません。
再申請に向けての確認事項
以下で代表的なものを紹介します。記憶を整理しておきましょう。
収入要件
- 申請時の年収が200万円以下だった
- 個人事業主だが黒字/所得がなかった
これらに該当していれば、身元保証人の収入要件がネックになったと考えられます。
一般的に、保証人の年収(所得)は約300万円がボーダーになるとされています。現時点でこの金額を下回っている場合は、別途身元保証人の追加を検討するべきです。
申請日数
- 初来日で90日間の滞在予定を組んでいた
- 商用訪問で30/90日間のスケジュールだった
基本的に、申請人3の滞在日数が長くなればなるほど審査のハードルも上がります。
恋人や友人のビザを90日枠で申請する際は、それだけの期間日本に滞在する合理的な理由を招へい経緯書などでアピールしていくべきです。
申請時期
- 相手が仕事を終え帰国したあとすぐに申請した
- 帰国した技能実習生を招待しようとした
パブなどの飲食店で勤務していた外国人や、職場の同僚だった元実習生のビザが不許可になった場合、申請を行った時期が不許可原因のひとつになった可能性もあります。
短期ビザでは、来日中の就労活動が法律で禁止されています。そのため、仕事で来日していた外国人は通常に比べ、就労可能性について厳しく審査される傾向にあります。
関係性証明
- ふたりの写真を提出しなかった
- ふたりの連絡履歴を提出しなかった
関係性の立証資料が不足していれば、双方の交友に疑義4があると判断されやすくなります。
一緒に写った写真や通話履歴、メッセージアプリ(LINE,WeChat,Messengerなど)を介した会話の履歴は、審査において非常に有効な資料となります。
前回の申請で写真や連絡履歴を提出していない、また1・2枚のみ添付していた場合は、なるべく色んなシチュエーションや日付で撮影・保存したものを用意しましょう。
法律違反
- 過去に申請人が法律違反を犯していた
オーバーステイ歴もこの項目に該当します。招へい人や身元保証人に事前に伝えていなかった(隠していた)ケースも散見されます。
この場合、不法滞在のデータは政府が保管しているため、正直に過去の過ちを謝罪した上で再申請に臨みましょう。
その他確認事項
- 不許可の通知を受けた日付
- 前回提出した書類の控え
本当に6ヵ月が経過しているかを確認するため、不許可の日付は再度チェックしてください。
前回申請時の書類控えについては、以前に自分が何を書いたかを思い出すほか、今回の書類作成で引用する機会も多々あります。
おわりに
短期滞在ビザの不許可時のリカバー方法・再申請について解説しました。
不許可の理由はひとつとは限りません。複数の項目が重なり合うことも十分考えられます。また大使館側も、前回の不許可を覆すかたちになるので、審査は長期化する傾向にあります。