短期滞在ビザの申請では、平均して20~40枚の書類を提出します。もちろん、書類に嘘を書くと虚偽申請となり、不許可になるだけでなく次回以降の申請もかなり不利になります。
この記事の目次
嘘がダメな3つの理由
ビザの許可・不許可の観点から3つの理由を説明していきます。
辻褄が合わなくなる
短期ビザの申請では、住民票などの添付資料のほか、自身で作成する書類があり、虚偽申請をする方の多くは後者の書面に嘘を記載します。
しかし、改変した記憶はメモでもしない限りすぐに忘れてしまいます。何となくで設定したパスワードが思い出せなくて四苦八苦した経験は誰にでもあると思います。
例外的な審査について
短期ビザは原則書類審査ですが、まれに面談や電話調査が実施されることもあります。
- 知人の紹介で知り合ったウソ
- SNSで知り合ったホント
このような、単なる書き間違いの域を超えているケースでは、許可が下りる可能性は非常に低くなります。決定的な矛盾が露呈すればその時点でアウトです。
過去の申請データが残る
審査自体は海外の大使館または総領事館で行われますが、海外にある日本大使館・総領事館はともに外務省の管轄下にあります。
そのため、審査中に確認したい事項があれば、外務省へ照会をかけることになっています。通常の審査期間を大幅に超えても結果が下りない場合は、照会がかかっていると考えられます。
外務省Webサイトからの引用
日本大使館/総領事館から外務省(東京)に照会して審査する場合もあります。その場合、審査結果が出るまでに時間を要する場合があります。
つまり、ビザ申請で提出した書類データは国内でも共有され得ます。過去のデータは残り、直近の申請内容に応じて随時確認される可能性を考慮するべきです。
虚偽申請を繰り返してしまう
短期ビザの申請では「一度嘘をつくとその先も虚偽申請を続ける」状況に陥ります。何度目かの申請で考えを改め、事実を記載したとしても、その申請自体が虚偽と判断されかねません。
リカバー方法はある?
そのため、通常は反省文や嘆願書などの書面を添付しますが、提出したからといって許可になる保証はありません。
嘘の程度にもよりますが、真実を伝え直してビザが発給された人は少なからずいます。ただ避けられるならば、避けるに越したことはない申請方法です。
不許可理由は開示されるの?
日本大使館・総領事館は不許可の理由を申請人やあなたに開示しません。審査基準をかいくぐって悪用されるのを防ぐためです。
よく書かれる嘘ベスト7
当事務所の経験等を踏まえて、具体的な虚偽申請の内容について紹介していきます。
7. 不許可歴を隠す
ほかのページでも何度か紹介していますが、短期滞在ビザは一度不許可になってしまうと半年間の待期期間が発生し、その間は再申請ができません。
直近の不許可をなかったことにして、書類の内容を書き替える方もいますが、かえって大使館側の不信感を煽るだけです。最低でも6ヵ月間は待ちましょう。
6. 年収や預貯金を多く見せる
- 市/区役所発行の課税証明書
- 金融機関発行の残高証明書
- 確定申告書のコピー
短期ビザの申請では、身元保証人の収入状況を証明する資料として、上記のような書類を添付するのが一般的です。
言い換えると、それ以外の書面では自由に年収や貯金額をアピールできますが、実際の審査では課税証明書、残高証明書などに記載された金額が基準になります。
つまり、証拠となる資料を添付しなければ意味がありません。
海外駐在歴・転職歴がある場合
海外赴任や転職が理由で書類上の給与と実際の給与が異なるケースでは、別途その旨を記載した「補足説明書」の提出が有効です。
5. それらしい理由をつける
本来は日本観光やレジャー目的で招待しているが、病気の治療・通院など、もっともらしい理由を付け加えるケースが該当します。
4. 来日経験をごまかす
短期滞在ビザはお仕事・アルバイトができないビザです。そのため、あまりに頻繁に来日していると、就労活動を疑われやすくなります。
パスポートの記録
実際の申請では、申請人1が自身のパスポートを日本大使館・総領事館へ預けます。
パスポートにはこれまでの査証や証印、出入国スタンプが記録として残っています。もちろん、直近でパスポートを更新していたとしても、過去の出入国歴は容易に調べられます。
過去の来日目的について
また何の目的・在留資格で滞在していたのかも把握できます。仕事や研修、タレント活動で滞在していたのであれば、そのこともきちんと申請書類に記載しましょう。
3. 会った回数を水増しする
食事や観光へ出かけた回数が多いほど、友人・恋人関係の真実性が高いとされ、審査上は有利に進みます。そのため、対面した日や回数を水増しするのもよく用いられる方法です。
ただ、申請では関係性の立証が必要になるため、招へい人側のパスポートコピーのほか、双方のメッセージ履歴2を提出する機会が多くあります。
「*月*日に対面した」と嘘をついたとして、同日にこのようなやり取りが残っていればアウトです。
2. 知り合った経緯をごまかす
審査官も人間なので、SNSやマッチングアプリなどで知り合った人に比べ、実際に対面して仲良くなったケースのほうがイメージが湧きやすく、心証3も良くなる傾向にあります。
そのため、招へい人(招待する人)もこのことを気にして、あえてネットで知り合ったとは書かずに、旅行先などで出会ったと記載するパターンがあります。
SNS/アプリで知り合った場合
よくお受けするご相談ですが、そこまでナーバスになる必要はありません。確かに、ネットで知り合ったケースは厳しめの審査になりますが、書面の内容次第では十分許可は狙えます。
1. 知り合った年月日をずらす
付き合いが長ければ長いほど、双方の関係性が評価されるため、審査ではプラスになります。どれだけ密に連絡を取り合っていても、付き合いの長さに勝る事実はありません。
出会った日付を過去にずらすのはよくある手法ですが、審査官も知り合ったときのシチュエーションは重要なポイントとしてチェックします。
一方が既婚者だった場合
出会った当時は既婚者だったため、意図的に日付を調整しようとする方も中にはいます。
もちろん、当事務所としては正直に記載することを推奨します。
交際期間が重なっていたことを隠すよりも、これまでに築き上げてきたふたりの信頼関係をアピールしたほうが、将来の結婚ビザ申請にも有利に働きます。
まとめ
- 虚偽申請は2回目以降の審査にも影響
- 過去の申請データは外務省でも共有され得る
- 虚偽の記載を調査するのが審査官の職務
隠しておきたいような事情があったとしても、その事実を踏まえてお互いがどう感じているのかなどをしっかりと文面で主張しましょう。虚偽申請は極めてリスキーです。