短期滞在ビザは、他のビザ(結婚ビザや就労ビザ)とは異なり、一定期間が経過すれば本国へ帰ることを前提に発給されます。
そのため、申請時にどれくらいの期間日本に滞在するのかを、あらかじめ日本大使館や総領事館へ書面で伝えておく必要があります。
この記事では、短期滞在ビザの滞在日数・滞在期間をテーマに解説しています。
この記事の目次
滞在期間は最長90日間
短期滞在ビザで交際相手や友人、親族を呼び寄せる場合は、最長90日間の滞在が可能です。
また、最長90日間と表現しましたが、実際は15日・30日・90日の3種類に振り分けてビザが交付されます。
- 1週間(7日間)の滞在予定で申請15日枠
- 3週間(約20日間)の滞在予定で申請30日枠
- 2ヵ月(約60日間)の滞在予定で申請90日枠
このように、滞在してもらいたい期間に応じて許可される日数が変わります。
手数料は変わらない
申請先となる日本大使館や総領事館、代理申請機関1に支払う手数料は原則変わりません。90日枠だから値段が上がるなんてことはなく、同じ料金で申請できます。
審査期間も大きく変わらない
審査が完了するまでの期間もそこまで差はありません。
もちろん、15日枠で申請したほうが滞在予定などの確認事項は少なくなるので、早く審査が終わる傾向にありますが、そこまで違いはないと考えてください。
とりあえずの申請は要注意
ここまで読み進める中で、上記のように考えた方もいるかと思います。ただ、実務上はそこまで単純ではありません。審査のハードルが変わってきます。
滞在日数と審査基準の関係
15日より30日、30日より90日と、滞在期間が長くなるほど審査の基準は厳しくなります。
- 招へい経緯SNSで知り合った
- 来日目的東京都内を観光
仮にこのようなケースで90日間の短期滞在ビザを申請すると、大使館や総領事館の審査官から滞在予定を疑われるかもしれません。
必要以上の日数で申請しない
審査において疑義を持たれると、その先のチェックはかなり慎重になります。
通常であれば、ただの書き間違いと見過ごされるような部分でも、記載内容が矛盾していると判断されれば、希望した滞在日数の違いだけで不許可になることも考えられます。
滞在日数の目安
滞在日数の検討にあたっては、下記の表を参考にしてみてください。
- 取引先との商談や打ち合わせ~15日
- お世話になった友人に日本を案内~30日
- 交際相手と観光地巡り・親への紹介~30日
- 外国人妻の家族に育児補助を依頼~90日
- 結婚前に日本の文化や生活に慣れる~90日
滞在期間を決める際のポイント
申請前に知っておきたい要点を4つ紹介します。
90日枠:緻密な滞在計画を意識
- 恋人や友人を招待するに至った経緯及び理由
- 申請人2の出入国日や具体的な行動内容
これらの情報は滞在期間によらず、申請書類を作成する上で必ず求められます。
ケーススタディ
このような漠然とした計画ではなく、詳細な予定を立てた上で各書類の作成にあたります。
- 4月上旬は**観光,中旬は**訪問,下旬は**
- 5月上旬は**訪問,中旬は**観光,下旬は**
- 6月上旬は**観光,中旬は**,下旬は**訪問
理由次第では90日枠でも見込み有
ネガティブ寄りな説明が続きましたが、90日枠の申請を推奨していないわけではありません。筋の通った経緯や理由、滞在予定が揃えば90日の許可は見込めます。
- 数年前に知り合い、現在も交際を続けている
- 日本で暮らす孫と一緒に観光地を巡りたい
- 結婚を予定しているので、集中的に日本語を学ぶ
諸々の条件はありますが、上記のような理由があれば、90日のビザは十分発給され得ます。
ケーススタディ
- 先月SNSで知り合った人を日本へ呼びたい
- 紹介を受けた人(対面歴なし)を招待したい
- 最近帰国したが、またすぐに招へいしたい
このようなケースで、90日間の短期ビザを申請するのはおすすめできません。ただ、似通った案件で許可が下りた事例はあるので、思い切って申請してみるのもひとつです。
回し許可について
90日枠で申請した際、審査官の判断によって30日等の枠で許可をもらえることがあります。
ただ、この「回し許可」はかなり稀なので、通常は不許可となります。回し許可を狙って多めの日数で申請するのは避けてください。
半端な日数は切り捨てる
32日・16日などの中途半端な滞在期間を設定している場合は、なるべく30日・15日へ調整しましょう。
15日(30日)を1日でも超えると、実務上は30日枠(90日枠)と同じ基準での審査になります。
また「32日間のビザ」は存在しないので、仮にその日数分で航空券を予約していたとしても、90日間有効のビザが発給されます。
まとめ
- 滞在日数は15日・30日・90日に振り分けられる
- 滞在日数が増えるほど審査のハードルも上がる
- 中途半端な日数はなるべく調整する
短期ビザでの就労は一切認められません。れっきとした法律違反なので注意してください。
2~3ヵ月の滞在だと、その気になればアルバイトもできてしまうので、そういった角度からも大使館・総領事館は慎重に審査を行います。