海外で暮らす友人や交際相手、親族を短期間(90日間以内で)日本へ招待するには、短期滞在ビザという査証を現地の大使館や総領事館へ申請しなければなりません。
そして、日本側から招へい人・身元保証人を立てて外国人を呼び寄せる場合、身元保証人の経済状況が許可・不許可を決定する重要な要素のひとつになります。
この記事では、観光ビザの身元保証人にまつわる年収・預貯金額をテーマに解説しています。
この記事の目次
身元保証人制度について
次の章から4つのパターンに分けて説明していきます。
身元保証人のおさらい
申請人1が無職・無資力であったり、安定した職業に就いていない場合、日本側で招へい人・身元保証人を立ててビザ取得を協力するのが一般的です。
ただ、この場合の身元保証人は申請人に代わって滞在費や帰国旅費をカバーする内容になるため、通常は安定した収入を有する人が保証人にふさわしいとされています。
求められる年収・預貯金額
このサイトで何度も書いていますが、観光ビザ申請の一番のポイントは、申請人と招へい人(あなた)の関係証明です。ただ残念ながら、収入面だけがネックになり、不発給になる事例も少なからず存在します。
当事務所では、年収300万円、預貯金100万円がひとつのボーダーになると紹介していますが、実際は雇用形態や個人の状況によって少しずつハードルが変わります。
- 収入あり預貯金なし
- 収入なし預貯金あり
- 収入なし預貯金なし
- 収入あり預貯金あり
収入あり:預貯金なしのケース
口座残高の証明書を提出しない場合、年収は350万円程度がボーダーになります。
- 長年会社勤めをしている
- ただ預貯金があまりない
この場合は申請人(外国人)が身元保証人の年収額に頼るかたちとなり、市/区役所で発行されるあなたの課税所得証明書が求められます。
なお、“預貯金なし”は0円か、もしくは審査で有利に働かない程度の金額を意味します。
「安定した生活」がポイント
ポイントとなるのは、身元保証人がその収入額で安定した暮らしを送れているかどうかです。お住まいの地域の家賃や最低賃金等の相場も踏まえた審査が予想されます。
あくまでも当事務所の経験等に基づく内容になりますが、350万円程度の年収があれば、申請する価値はあるといえます。
なお、いくら年収が高くても、招待の経緯や書類間に相違があれば不利な扱いを受けます。
収入なし:預貯金ありのケース
年収額に不安がある場合、貯金額は200万円程度が目安です。ただ別途保証人の追加を推奨します。
- 転職活動等で一時的に無職状態
- 職業がパート/アルバイト
- ただ預貯金は結構ある
この場合は各金融機関から発行される残高証明書2を根拠として保証力をアピールしていきます。
残高証明書には金融機関の押印があるため、預金通帳のコピーより資料自体に信頼性があります。面倒ですが、なるべく窓口で証明書の発行を受けてください。
身元保証人の追加も検討しよう
残高証明書のみで申請を進める際は、200万円程度が審査のボーダーになると考えられます。また当事務所では、あなたのほかに身元保証人を追加で立てることも推奨しています。
中国やベトナムの一部地域では、このように年収の証明資料を必須にしている大使館等もあるため、基本的には親や兄弟姉妹に保証人を担ってもらったほうがよいでしょう。
収入なし:預貯金なしのケース
あなた以外の身元保証人を検討するべきといえます。なるべく近い親族からあたってみてください。
主に学生さんや専業主婦(主夫)さんが該当します。この場合は自分で何とかしようと考えるより、親や兄弟、配偶者などの親族に身元保証人を依頼するのが一番の近道です。
- 市/区役所・金融機関で書類を取得してもらう
- 完成した書類の一部に署名と捺印が必要
- 法的責任はなく道義的責任しか課されない
上記の項目をきちんと伝えた上で、協力者となってもらうよう相談してみてください。
道義的責任について
原則、身元保証人に法的責任はありません。
ビザ申請において、保証人は道義的責任のみを負うとされています。犯罪に加担しない限り、保証人になったことが原因で警察に捕まることはありません。
収入あり:預貯金ありのケース
年収300万円、預貯金100万円が目安になります。ただ90日枠の場合は要検討です。
正社員や会社役員で300万円以上の収入が見込め、かつ100万円以上の預貯金があれば、収入面が原因で不許可になる可能性は低いといえます。
ただ冒頭にも説明したとおり、収入要件は審査項目の一部に過ぎません。現地の日本大使館・総領事館は、収入面以上に申請人と招へい人の関係性を重視します。
90日枠の申請はハードルが上がる
90日枠/90日間3の観光ビザを希望する場合、収入要件はもう少し厳しくなる場合があります。
個別の事情によるので一概には言えませんが、預貯金が整うまで待ったほうがいいとアドバイスすることもあります。
まとめ
- 収入は300万円がボーダー
- 預貯金は200万円がボーダー
- 不安な場合は身元保証人を立てる
繰り返しますが、大使館や外務省は審査基準を一切公開しないので、この記事内にある金額は当事務所の経験に基づいたものになります。
また上記の収入要件を満たしていなくても、許可が下りたケースはあります。申請日数や関係性、交友の経緯などを正確に伝えていくことが、許可率を高められる最善の方法です。