海外で暮らす友人や恋人、親族を短期間(90日間以内で)日本へ招待するには、短期滞在ビザという査証を現地の大使館や総領事館へ申請しなければなりません。
そして、短期ビザには“年間180日を超える滞在は好ましくない”という暗黙の了解があり、通称180日ルールといわれています。
この記事では、短期滞在ビザにおける180日ルールをテーマに解説しています。
この記事の目次
180日ルールの根拠
実は、“180日ルール”は法律に明記されていません。
あくまでも実務上の取り扱い
短期滞在ビザの根拠となる入管法(出入国管理及び難民認定法)には、180日ルールについて明記された条文がありません。
つまり、このルールは法律で規定されたものではなく、実務上の取り扱いになります。
認められる場合もある
そのため、180日ルールは必ずしも守られるわけではありません。日本に引き続き在留しなければならない特別な事情1があると判断されれば、180日以上の滞在は許可され得ます。
しかし、ルール自体は存在するため、仮に年間180日以上の滞在を希望する場合は、かなり厳しい審査になると予想されます。
180日間の計算方法
“帰国を予定している日”が基準になります。
滞在予定の最終日から算出
計算の基準となる日付は、今回の申請における滞在予定の最終日、すなわち帰国予定日です。
- 日本入国日6月1日
- 日本出国日7月1日
仮に上記の滞在予定を組んだ場合、帰国予定日である「7月1日」から遡って「去年の7月1日」までの1年間が計算の基準となります。
6月1日から7月1日までは約30日間なので、去年の7月1日から申請までの間に150日(180日-30日)以上、過去に短期ビザで滞在していれば180日間を超えることになります。
許可された日数は関係なし
また、許可が下りた日数自体は計算に使用しません。原則、申請人2が実際に滞在した日数の合計で180日間を超えているかどうかを判断します。
- 前々回の申請90日間の許可
- 前回の申請30日間の許可
仮に上記の日数で短期滞在ビザが付与されたケースを考えます。
ケーススタディ
- 前々回の滞在日数90日間
- 前回の滞在日数30日間
それぞれ、期限いっぱいの90日,30日滞在してから帰国していれば、90日+30日=120日を既に消費していることになります。
- 前々回の滞在日数50日間
- 前回の滞在日数30日間
前々回の滞在で、90日間有効のビザを所持しながらも50日間しか滞在しなかった場合、累計の滞在日数は50日+30日=80日となります。今回の申請時点で100日間残る計算になります。
つまり、今回も90日間の短期ビザが発給され得ます。
数字がたくさん出ましたが、許可された短期ビザの日数ではなく、実際に日本で過ごした日3をもとに計算するよう意識してください。
180日ルールが存在する意義
最後に、180日ルールが設けられている背景について説明します。
短期ビザは帰国が前提
そもそも、短期滞在ビザは中長期間の在留を想定していません。
本邦に短期間滞在して行う観光、保養、スポーツ、親族の訪問、見学、講習又は会合への参加、業務連絡その他これらに類似する活動
短期ビザには様々な使い方がある一方で、基本的には上記4に掲げた目的をもって入国し、当該目的が達成されると本国へ帰国しなければなりません。
生活の拠点の有無がポイント
要するに、生活の拠点が日本にないと判断できる範囲においてのみ短期ビザは発給され、生活の拠点の有無を決める目安となるのが180日間というわけです。
180日を超える滞在はもう日本で生活しているとみなされます。
まとめ
- 1年の半分を超えた滞在は避けましょう
- 帰国予定日が直近1年の基準日
- 180日を超える場合は他のビザを検討
短期滞在ビザ・観光ビザの日数制限について解説しました。
なお、180日ルールは短期滞在ビザの延長・更新申請にも適用され得ます。複数回来日している場合は注意しましょう。