商用・ビジネス目的で短期滞在ビザを申請する際の3つの条件

短期商用

このページでは、短期滞在ビザ(観光ビザ)における「研修・商用・ビジネス」について説明しています。

短期滞在ビザでお仕事(就労活動)はできませんが、商用目的での打ち合わせ・商談・実務を含まない研修であれば短期滞在ビザに該当します。

なお、これは短期滞在ビザの中でも短期商用と呼ばれています。

商用目的で日本へ招待するための条件

最低限クリアしておきたい3つのこと

  1. 給料・手当などの報酬を渡さない
  2. 世間一般的にみて労働と判断されるものでない
  3. 受入先の会社・企業が対価を得ない

この3つを満たしていれば、その他諸々の要件はありますが原則短期滞在ビザで入国することは可能です。

また、知人訪問や親族訪問と同様、90日以内の滞在期間も申請にあたっての要件となります。

短期滞在ビザの「滞在期間・滞在日数」で知っておきたい3つのこと

2016.10.22

それでは、ひとつずつ詳しく解説していきます。

1.給料・手当などの報酬を渡さない

どんなかたちであれ、労働の対価として金銭を受け取ることは禁止されています。
契約社員やアルバイトとして勤務するのは完全にアウトですが、「報酬を伴わない講演会や座学・見学会に参加する」などの内容であれば、個々の案件にもよりますが短期滞在ビザに該当します。

弊所が実際に依頼を受けたケースだと、

ビザ申請人
(招待される方)
海外の大学教授
招へい人
(招待する方)
日本の一般社団法人
関係性 SNSで知り合った
招へい理由 同法人が主催するイベントのゲストスピーカーとして

上記の内容で申請人の方は短期商用ビザを取得することができ、無事に日本へ来られました。

他にも例を挙げると、

ビザ申請人
(招待される方)
海外支社の通訳担当者
招へい人
(招待する方)
日本の商社(株式会社)
関係性 雇用主
招へい理由 工場見学を通して製品知識の共有及び向上を図るため

こちらのお客様も問題なくビザが発給され、無事に日本での工場見学を終え帰国されました。

なんとなくニュアンスは掴んでいただけたでしょうか?

「働くことはできない」けれども、打ち合わせ研修会議商談イベント参加講習会市場調査などの、「報酬(お給料)が発生しない業務内容」であれば短期滞在ビザ(観光ビザ)で日本へ呼べるという認識を持っておいてください。

大使館・総領事館も「日本国内において収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行うことは認められません」と公表しています。

ただ、

招へい人
ということは報酬さえ支払わなければ何をしてもらってもいいってこと?

これもよく依頼者様から相談を受けますがそうではありません。ここで、2番目の条件がポイントになってきます。

2.世間一般的にみて労働と判断されるものでない

少し分かりにくく書いていますが、要は「社員さんやアルバイトがするような業務はしないでね」ということです。

例えば、「社員さんやアルバイトがするような業務」といえば何を思い浮かべますか?

  • 飲食店のホール・キッチンスタッフ
  • 工場におけるライン作業
  • 接客・レジ打ち
  • ビルの施工・メンテナンス

などなど、上記のようなものを想像したと思いますが、これらはたとえ無報酬だとしても、また「研修」という名目であったとしても、短期滞在ビザには原則該当しません

なぜなら今挙げたものは通常、「給料を受け取っていないとおかしい」と判断されてしまうからです。大使館側からすれば「商用目的というよりタダ働きじゃないか」と不審に思うわけです。

「原則該当しない」の意味
もし仮に、「工場でのライン作業といってもほとんど体験や見学みたいなものだから」と考えるのであれば、そういった内容で申請することは可能です。もしかすると許可が下りるかもしれません。ただ、繰り返しになりますが、大使館側は「研修とは名ばかりのタダ働き・就労活動じゃないの?」という目線で審査を行いますので、きちんとした理由目的を書面でアピールしないとビザの取得はかなり難しいです。

3.受入先の会社・企業が対価を得ない

  • どこまでが労働でどこまでが労働でないのか?
  • 研修とタダ働きの明確な違いは何なのか?

ここまで読み進めると、このような疑問点が頭に浮かんでいると思います。そこで、3番目の基準・目安として「受入先が結果的に得をするのかしないのか」について考えていきます。

<ケーススタディ>
現場の従業員と一緒に生産ラインへ入って技術や知識を学ぶ

これはどうでしょうか?「研修」に該当するでしょうか?「労働」に該当するでしょうか?

この情報だけでは流石に判断がつかないので、もう少し具体的に展開します。

  1. できあがった製品を実際に商品として販売する
  2. あくまでも技術習得の過程でできたものなので、市場には出さない

(1)の場合、販売した商品が売れると会社に売り上げとしてお金が入ってきます。そうなると、会社は利益を得ているにもかかわらず、製品を作った人に報酬を支払っていないという図式になり、結果としてタダ働きではないかと推定が及びます。つまり、大使館側も「これは研修の枠を超えているな、就労活動に該当するだろう」と判断する可能性が高くなります。

一方で、(2)の場合は、「市場に出ない=儲けにならない」ということになるので、単純計算で会社は製品を作るのにかかった原価分だけ損をしています。その代わり、海外から招待された人は技術や知識を習得することができています。このケースだと、会社は長期的な利益のために一種の投資を行ったとも考えられるので、研修だと主張しても特におかしな点はありません。

以上のように、受入先の企業が外国人の招へいにより金銭的な対価を得るのかどうかを考えることによって、短期滞在ビザの該当性がイメージしやすくなります。

迷ったときはこういった側面から検討すれば判断がつきやすくなることを頭の片隅に入れておいてください。

まとめ

  • 報酬の受け取りがない
  • 労働と判断される業務内容でない
  • 受入先の企業が金銭的な対価を得ない

上記3点をクリアしていれば、原則短期滞在ビザ(短期商用)で日本に呼ぶことは可能

「生産ラインに入って実際に生産活動に従事しながら技術を学ぶ」などの限りなく労働・就労に近い研修を行う場合は、大使館・総領事館が納得するような理由目的書面でアピールすることが重要となります。

法律用語や難解な言葉をできるだけ省いて説明しましたが、正直なところ、セミナーや講習会ならまだしも、研修と労働の線引きはかなり難しいかと思います。

また、文化交流を目的としたチャリティーイベントを主催する場合も、プロのミュージシャンを招待するのであればたとえ無報酬であっても空港で止められたりするケースがございます。予定していた催事の中止を防ぐためにも、先方さんと密に連絡を取り合ってビザの手続きを進めてください。