日本側から招へい人・身元保証人を立てて交際相手や友人、親族の短期ビザを取得する際、必要書類として「招へい理由書」が各国の大使館等で指定されています。
そして当事務所では、申請人とあなたの関係をより詳細に説明するため、招へい理由書の別紙(招へい経緯書)の作成を推奨しています。

この記事の目次

招へい理由書の別紙とは
“当事者間の交友関係”をより丁寧に記述した書類のことをいいます。
理由書のおさらい
短期ビザの申請において、審査官が最も重視する項目は申請人と招へい人1の関係性です。
身元保証人の年収や預貯金もポイントになりますが、申請人との間柄や招待の目的、経緯などが不明確であるほど審査は不利になります。

そして、こういった情報は本来、「招へい理由書」に記載することになります。
なぜビザは不許可になるのか
そもそもビザ(査証)とは、大使館・総領事館が日本政府に対して、当該外国人が日本に入国しても問題ないことを示す推薦状のようなものです。
現状、日本は出入国管理上のリスク2が高いと判断した外国人にはビザを発給しません。

つまり、審査官が要求する情報群、すなわち当事者間の交友関係を適切な分量で記載・アピールできれば、それだけ許可率は高くなります。
理由書の記入スペース

上記赤枠が招へい理由書内にある「招へい目的・経緯」を記入する欄になります。見てのとおり、それぞれ4~5行分くらいしかスペースがありません。
もちろん、大使館側がこの枠内に記入するようフォーマットを指定しているわけなので、枠に収まるように文章量を調整するのが一般的です。

求められる情報量との相違
- 知り合った経緯
- 今回の入国目的
- 予定滞在期間
- 宿泊場所
- 滞在費等の負担の有無
一方で、大使館側はこれらの情報を詳細に記述することも求めています。
「求めている情報量」と「実際の記入スペース」が釣り合っておらず、すべてを網羅するには不十分であると、個人的にも思います。
文量を各自で調整する必要がある

記入スペースが不足している以上、正確な経緯を伝えるには自分たちで積極的に動くほかありません。
文章量と質の高さはある程度比例します。
やみくもに加筆するのはNGですが、5行より10行、10行より50行と文章が増えるほど、伝えられる情報量も多くなります。
まとめると
以上の理由から、短期ビザの申請には文章量(センテンス)が適切にコントロールできる別紙を作成するのが望ましいとされており、当別紙を俗に招へい経緯書といいます。
招へい経緯書は必須書類なのか
必須ではありません。提出しなくてもOKです。

ほとんどの日本大使館・総領事館において、招へい理由書の別紙(招へい経緯書)は必須ではなく、上記のような案内にとどまっています。
なおフィリピンでは、はっきり招へい経緯書と明記されていませんが、招へい理由に関する資料として、知人関係説明書の添付が推奨されています。
経緯書は招へい人が作成

招へい経緯書の元となる招へい理由書は、日本側の招へい人が作成します。そのため、原則は経緯書も招へい人(あなた)の名義で作成します。
仮に身元保証人が複数いて、それぞれが申請人(来日する外国人)と面識がある場合でも、形式上は招へい人がメインとなって作成するのが望ましいでしょう。
経緯書を作成する前に
最後に、招へい経緯書の作成で気をつけたい3つのポイントを紹介します。
1. 時系列を意識する

その出来事がいつ起こったのかはなるべく記載しましょう。「*年*月」まで書ければベターです。
知り合ったときや交際に至ったとき、相手の家族に会ったときなど、象徴的なエピソードにはそれがいつの出来事なのかを記入しておきましょう。
2. 虚偽の記載をしない

当たり前ですが、一番のタブーは書類に嘘を記載することです。
虚偽申請は極めて悪質な行為とみなされます。不許可になるのはもちろん、2回目・3回目の再申請においても影響が出るでしょう。
3. 就労を想起させない

入管法には「短期滞在ビザで報酬を受ける活動を行ってはならない」と定められています。
簡単にいうと、この法律(第19条)はお仕事やアルバイトをしてはいけないと規定しています。経緯書内で紛らわしい表現や言葉は使わないようにしましょう。

なお、短期ビザ/観光ビザで実際に就労させると、当外国人だけでなく雇用元も罪に問われる可能性があります3。くれぐれも注意してください。
まとめ
- 招へい理由書の別紙=招へい経緯書
- 経緯書はなるべく作成しましょう
- 経緯書は招へい人名義で作成
細かな修正を重ね、少しずつ確率を積み上げていくのが一番の近道で、最も確実な方法です。
経緯書の出来次第で本来不許可に相当する案件が許可になることも十分考えられるので、妥協せずに準備したいところです。