海外で暮らす恋人や親族、取引先を短期間(90日間以内で)日本へ招待するには、短期滞在ビザという査証を現地の大使館や総領事館へ申請しなければなりません。
そして「会社・団体概要説明書」は、主にビジネス目的での申請で使用されます。ただ、すべての商用訪問で提出するわけではなく、個別のケースに応じて必要・不要が分かれます。
この記事では、「会社・団体概要説明書」の取り扱いをテーマに解説しています。
この記事の目次
会社・団体概要説明書とは
招へい機関のプロフィールを記載する書類です。
招へい元の企業情報を伝えるもの
個人が招へい人を担う場合は、当個人の身分状況を証明する資料1を提出するのが一般的です。
しかし、会社などが招へい機関を担うケースだと、「企業の住民票」といったものは発行されないため、別の書類で企業情報を大使館側へ伝えていくことになります。
そこで、会社・団体概要説明書を使用し、招待をかける企業は何者かを明確にしていきます。
原則は個人事業主が対象
企業情報に関していえば、上場企業なら会社四季報の写しが、法人登記を済ませている企業であれば登記簿謄本が発行されるため、それらを添付すれば対応できます。
しかし、法人登記を行っていない個人事業主や任意団体はこれらの証明書を提出できません。
このようなケースでは、会社・団体概要説明書が役に立ちます。
簡単にいえば、法人登記を行っていない自営業者や任意団体が登記簿謄本の代わりに提出する書類を、会社・団体概要説明書と呼びます。
会社・団体概要説明書はなぜ必要なのか
「招へい理由と事業内容に乖離がないこと」を伝えるために準備します。
実際の申請で提出する「会社・団体概要説明書」の見本です。
見ると分かるように、名称や代表者の氏名、所在地といった基本情報のほか、どのような過程を経て何の事業を展開しているのかを記載する箇所2があります。
要するに、大使館側は今回の招へい目的と団体の事業内容等の関連性を求めています。
ケーススタディ
極端な例ですが、このような申請では招へい目的と事業内容が著しく乖離していると判断されるので、許可をもらうのは相当厳しいと考えられます。
会社・団体概要説明書のデメリット
書類の真実性はどうしても低くなります。
書類自体の信頼性の差
会社・団体概要説明書は便利な書類です。会社四季報を取り寄せる必要もなければ、登記簿謄本を取得するため法務局へ出向き手数料を支払う必要もありません。
これまであえて伏せていましたが、実は法人登記済の企業であっても「会社・団体概要説明書」を用いて短期ビザを申請できます。ただ、当事務所はこの方法を推奨していません。
登記簿謄本のほうが証明力は強い
登記簿謄本4は、法務局と呼ばれる役所から発行される公文書です。いわば法務局のお墨付きが与えられているので、改ざんの可能性が極めて低いといえます。
使用はなるべく控えましょう
一方で、会社・団体概要説明書は公文書ではなく、あくまでも私文書です。
書類作成者のさじ加減ひとつで、事実と異なる説明書を提出できるため、一般的には登記簿謄本のほうがより事実を反映していると評価されます。
以上の理由から、法人格を持つ企業が会社・団体概要説明書を提出するのは悪手といえます。
まとめ
- 会社・団体概要説明書は謄本の代わり
- 個人事業主や任意団体が使用するもの
- 登記簿謄本のほうが信頼性は高い
なお、短期商用ビザで認められる来日目的は実務を伴わない技術指導や商談、打ち合わせなどに限られます。報酬や給与の発生する就労活動はできないので注意してください。
また審査を有利に進めるには、会社・団体概要説明書だけでなく、双方の関係性や招待の経緯、過去の取引実績などを様々な資料・文書で多角的にアピールしていくことが大切です。