海外で暮らす恋人や親族、友人を短期間(90日間以内で)日本へ招待するには、短期滞在ビザという査証を現地の大使館や総領事館へ申請しなければなりません。
そして、現地大使館が公表している必要書類の中には確定申告書が指定されており、一般的に個人事業主や法人成りしていない自営業者が準備する書類とされています。
この記事の目次
短期ビザにおける確定申告書
“利益(売上-費用)にかかる税金を納めるために行う手続き”が確定申告です。
個人事業主はほぼ必須
所得税の確定申告は、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた全ての所得の金額とそれに対する所得税の額を計算し、申告期限までに確定申告書を提出して、源泉徴収された税金や予定納税で納めた税金などとの過不足を精算する手続 [国税庁Webサイト抜粋]
雇用されている方は毎月の給与から天引きされるため、原則確定申告は不要です。つまり、確定申告書自体が手元にないので、短期ビザの審査においても求められません。
そのため、確定申告書の提出が必要になるのは個人事業主の方がメインとなります。
実際の確定申告書控え
実際の申請で添付する「確定申告書控え」の見本です。
申告の話はビザと直接関係がないため割愛しますが、短期ビザの申請では申告書上の細かな点に注意する必要があります。
1. 税務署受付印を忘れずに
通常、確定申告書の控えには税務署の受付印(収受日印)が押印されます。
上記のように受付印があれば問題なく使用できます。ただ、あなたの手元にある確定申告書控えに受付印が押印されていない場合、その申告書はビザの申請に使用できません。
提出した控えが税務署提出分と一致しているかの判断が付かないからです。
短期ビザの申請には、税務署受付印のある申告書控えが求められます。
2. e-Tax(電子申告)で申告した場合
受付印の代わりに受信通知を添付
e-Tax1を利用した場合は、Web上で手続きを行うため、税務署から受付印をもらえません。こういったケースでは、受領印の代わりに受信通知と呼ばれるものを併せて添付します。
受信通知の見本画像
上記画像が受信通知の見本になります。
提出先や受付番号、所得金額などが記載されており、この資料自体がいわば受付印の代わりとして扱われます。
- 確定申告書データを印刷したもの
- 受信通知を印刷したもの
3. 控えのコピーを提出しましょう
短期ビザ/観光ビザの申請において、住民票や課税所得証明書などは原本の提出が必須とされていますが、申告書の控えはコピーの提出でOKです。
e-Taxの場合は関係ありませんが、受領印のある申告書控えで申請に臨む方は、控えをそのまま提出しないでください。大使館・総領事館は原則提出書類を返却してくれません。
控えは必ず保管しておき、コピーを提出するようにしてください。
4. 申告漏れ・過度な節税に注意
“所得額”が非常に重要です。
書類上の数字がすべて
節税のため所得金額を低く計上している方は要注意です。残念ながら、短期ビザの申請では書類に計上されている金額をもとに審査が進むため、不利になります。
上記のような言い分は通用しません。仮に年間所得を100万円で申告すれば、“手取り月収が約83,000円の人”と同等として審査されます。
不許可になるとまでは言いませんが、所得が100万円だとかなり厳しい案件になるでしょう。
リカバー方法
前項のようなケースでは、追加で銀行口座の残高証明書を添付したり、別途身元保証人の追加を検討するべきと解されます。
なお、所得額の目安として、300~350万円が審査のボーダーになると考えてください。
まとめ
- 受付印(受領印)のある控えが必要
- e-Taxの場合は受信通知を添付
- 過度な節税には要リカバー
来日する外国人との関係性証明が一番のポイントとはいえ、身元保証人の所得状況も審査に大きく影響します。
また、審査を有利に進める方法のひとつとして、“あえて添付しない”という手段もあります。ただ、その他の書類との兼ね合いがあってこそなので、相応のリスクがあります。